ドイツ、ドレスデン市近郊のドーナ町に本社を置くダイキャスティング・テクノロジー・センター社 (以下「DTC 社」) は、アルミニウムとマグネジウムを原料とするダイカスト部品を開発しています。同社はドルックグス・ハイデナウ社とダイカストマシンメーカーである IDRA プレス社 (本社イタリア、ブレシア市) のジョイントベンチャーです。事業内容はダイカスト部品の可能性調査および設計コンサルティングで、クライアントから寄せられた物件の鋳造工程シミュレーションから試作品製作、さらには量産するための製造パラメーターの最適化を提供しています。1999 年 1 月創立の DTC 社は中立的なサービス業者です。つまり同社に出資している企業の影力を排除してサービスを提供しています。
これについてDTC 社プロジェクトマネージャーであるベルンハート・ミュラー氏は次のように語っています。「当社のクライアントは、非常に時間と人手のかかる開発、量産開始段階を社内から当社に任せることで、時間と費を節約しているのです。ダイカスト部品はますます複雑になり、求められる品質は高くなる一方であることを考えると、時間と費用が節約できるということは、非常に大きなメリットです。最終的には当社はクライアントから、時間的なプレッシャーの中で実現可能な最良の成果を出さねばならい、という課題を引き受けているのです。とはいえ、サイクルタイムの短縮や不良品率の低減、あるいは鋳型の寿命を延ばすために最適な調査結果を出すことが必要です。」
DTC 社はこらの委託調査を最新鋭のセル生産工程で行っていおり、この工程の中心となるのはダイカストマシンです。最大クランプ力 2 万 5000 kN のこの機械で、約 40 kg または 30 kg のアルミニウムダイカストとマグネシウムダイカストを製造しています。
ロボットで鋳造程を自動化
DTC 社は KUKA ロボット KR 125 を 3 台導入して、「普通の」鋳造セルを全自動工程セルに衣替えしました。これにより、取出し、急冷およびバリ取りを含む工程全体の量産能力を証明し、必要に応じてさらに改善することができます。
KUKA ロボット社 (本社アウグスブルク) のロボット 2 台は 2000 年 7 月末に、3 台目は 2001 年 4 月に操業を開始しました。1 台の KR 125 がスプレーをする間に、もう 1 台の KR 125 がダイカスト部品をハンドリングしま。最後にンストールされた KR 125 は、Thixo 法で加工するスタッドを鋳造チャンバーに入れる担当です。
DTC 社は、ロボットでサイクルタイムの短縮、高加速度、繰返精度およびほぼ 100% の使用率を実現することを期待しています。KR 125 が省スペースタイプのロボットであることも重要ですこのロボットはもともと機械に取り付けが可能で、したかって省スペースタイプなのですが、ここではそれどころか斜めに取り付けられています。
的を絞って離型剤をスプレー
「6 軸多関節ロボットの方が 2 軸リニアユニットよりも離型剤を確実かつ正確にスプレーできるので、前者を採用しています。これにより例えば難しいゾーンも確実にスプレーできるようになり、離型剤の節約にもつながっています。KUKA に決めたのは、他社製ロボットりも高速でコストパフーマンスが良く、操作しやすいからです。」とベルンハート・ミュラー氏は語ります。最後のポイントは、PC べースの KUKA ロボットコントローラーの Windows 画面によりプログラミングが格段に容易になった点を指しています。
このロボットの装備を開発したの、KUKA システムパートナーの FKS マシーネンバウ社 (本社ベルリン) です。水溶性離型剤を高圧で噴射するスプレーヘッドとともに、Thixo スタッドをつかむためのグリッパーと、ダイカスト部品を取出し後に部品のスプルブッシュまたは直接部品の周囲をつかむ複数種類の爪を取り付けました。ロボットが部品のスプルブッシュをつかむと、ロボットはどのようなワークでも、自分とおなじくらい大きなワークでもハンドリングできます。パンチを通過したワークを動かねばならないとれば、ロットはワークの周囲をつかまねばなりません。
熱いワークのハンドリングを担当する KR 125 には、特に耐熱性の高い鋳物製ハンドが装備されました。FKS マシーネンバウ社は、ダイカストセルの自動化システムをすべて顧客専用に考案して納入しました。この納品範囲には、ロボット、グリッパー、スプレーヘッド、パンチプレス機およびベルトコンベアも含まれています。
効率的な作業分担
これから、考えられるシーケンスを説明しながら工程の一例を紹介しましょう。DTC は均熱炉にアルミニウム・シリコン合金を備蓄します。この炉は合金を計量し、充填チャンバーへ流します。ここで液体になった合金を、750 bar の圧力で、高速で鋼型に押し込み固めます。凝固時間は、ワークのサイズによって異なりますが、3 ~ 15 秒です。れに引き続いて機械が開き、KR 125 がワークを取り出します。次のステップで 6 軸ロボットがワークをセンサー前に持って行き、コントローラーがセンサーで点検を実行します。コントローラーは、実際にセンサーが検知したか、完全な形をしているかを点検しす。スプルブッシュが鋳型に残ったままになっている場合、鋳型は閉じてはなりません。ロボットが 300 ~ 350℃の鋳物を約 30℃の急冷槽に入れます。それから KR 125 はワークをバリ取りプレス機に渡し、ここでスプルブッシュ、つまり切り口とその周囲のバリが自動的に取り除かれます。このシーケンスには反転ステーションが組み込まれています。このステーションは、必要とあれば、パンチプレス機にワークを装填する前に回します。
効率的な作業分担という味で、コントローラー先ほどのワークを承認すると、機械に取り付けられた KR 125 が鋳型に水溶性離型剤をスプレーします。このように、次のワークも取り出しやすくしておくのです。スプレーが終了すると機械が閉じ、サイクルが最初から始まります。
スタッドの代替ハドリング法
DTC 社では、3 台目の KR 125 を Thixo 鋳造に使用しています。この製法は、通常の液状アルミニウムに代えてスタッドを使用するというものです。ロボットは、ぐにゃぐにゃの状態のスタッドを充填チャンバーに入れます。鋳型にプレスすると、スタッドの粘度は急激に下がります。この製法のメリットは、あたふたと型に充填する必要がなく、ダイカストの機械的な特性が改善されることです。そのため、ワークは溶接も熱処理もでき、熱処理ではその剛性と靭性を高めることができます
KR 125 はスタッドを水平方向あるいは垂直方向で持ちます。KUKA ロボットがスタッドの載った入れ物を受け取って機械の充填チャンバーにスタッドを入れるか、プラットフォームに自力で立っているスタッドを変形しないように、その長さと円周の面をつかんでチャンバーへ入れます。スタッドに固形部分と液状部分が混じっており、その割合も一定でないために、このような代替法が必要になります。これは、スタッドの液状部分の割合の方が高く比較的長めである場合、スタッドを垂直に立てて加熱できないからです。できあがったダイカスト部品の取出しとその後のハンドリングは、従来どおりの方法と同じです。
良好な反響
ベルンハート・ミュラー氏は、「DTC 社への反響は上々です。当社のンセプトで未解決の部分が決できたのですから。これまでこのように独立して開発できる業者はいなかったですからね。」と締めくくります。
したがって、この開発サービスはダイカスト製造業者にとってありがたいものでした。しかしながら、軽金属ダイカストへの需要はる一方で、同時に製品にも新しい性能や特性が求められています。そうして開発作業の負担は大きくなり、その結果は時間的なプレッシャーです。ダイカスト業者は、一貫して業者の利益を考えて開発技術にその希望を反映させてくれる DTC 社のコンサルティングを利用することで、このプレッシャーから免れるのです。さらに、DTC 社は開発から量産へ流れるように移行させてくれます。
記者:ユルゲン・ヴァームボルト (フリージャーナリスト、27327 マルトフェト)