隅に追いやられて

ビールケースのハンドリング用にコンパクトなロボットセルを考案
パレタイジングロボットが飲料ケースをハンドリング
オーストリアのフォアアルルベルグ州ドルンビルン町にあるアウグスト・フーバー・モーレンビール醸造所は、同州で最古の民営ビール醸造所です。このオーストリア企業のサクセスストーリーは、カトリック教会の「東方の三賢人」という伝説に因んだ名前を持つレストランから始まりました。1843 年 5 月、フランツ=アントン・フーバーはこのレストラン「ツム・モーレン」と同レストラン所有の醸造所を買い取りました。

家族経営でやってきたモーレンビール醸造所の年生産量は 1834 年には 300 ヘクトリットルでしたが現在は 17 万ヘクトリットル以上に増えています。生産現場では、コンピューター制御による樽詰めとモニタリングで品質を常に一定に保ちます。主にノンアルコール飲料で作った商品を含めると、出荷量は優に 20 万ヘクトリットルを超えます。

このモーレンビール醸造所は 100 人強の従業員で、年売上高 3 億シリングを達成しています。モーレンビール醸造所「杜氏」ラルフ・フライターク氏はその販売力を次のように説明しています。「当社の地域はフォアアルルベルク州ですが、チロル地方、ウィーン、ブルゲンランド州でもかなり知られたブランドです。顧客の多くは飲食店と食料品店です。それ以外にも、オーストリアでは当社が最初にペットボトル飲料を売り出したということもあって、ウィーン・ラブ・パレードと多数のコンサート主催者の独占サプライヤーになっています。」



違いのわかるパレタイズ職人

モーレンビール醸造所の工程は、随分前から自動化されています。その一例は「樽詰めロボット」と呼ばれる KUKA ロボット KR 150 で、1997 年から空樽をローラーコンベアから洗浄システムに引き渡す作業に従事しています。洗浄して樽詰めが終わると、樽にキャップで栓をしてコード設定を行い、樽を搬出ローラーコンベアに乗せます。

2001 年 4 月には、新たに 2 台のパレタイジングロボット KR 180 PA が導入され、26 年間もこの醸造所に仕えてきたパレタイザーの任務を引き継ぎました。現在、全生産量のうちビール樽の 35% を除くすべての製品が、このパレタイザーの手を経て出荷されています。

KUKA ロボット社 (本社アウグスブルク) が開発した KR 180 PA は第 5 軸を受動軸とする 4 軸の「パレタイズの職人」で、特にアプリケーション専用の FEM を最適化したキネマティクスによって普通のロボット技術に差を付けています。アームはカーボンファイバー製で慣性モーメントが比較的小さいため、かなり高い加速度を出すことができます。KR 180 PA のアームは軽量型であるにもかかわらず高剛性で、グリッパーの質量と合計で 180 kg のものを運搬できます。KR 180 PA のシルエットの出っ張り部分を最小化してモルりすっきりさせたため、ロボットセル内のスペースを今まで以上に有効に利用できます。



コスト上のメリットもある 4 軸ロボット

4 軸ロボット KR 180 PA の製造費用は 6 軸ロボットよりも低く抑えられます。また、かなりの部分に標準ロボット用のコンポーネントを使用でき、ロボット 1 台でパレット 8 枚のパレタイズまで自動化できることも、経済的なメリットをもたらします。さらに、給電システムを素早く交換でき、取付け部品点数も大幅に少なくなったため、メンテナンス作業も容易です。

「ハンドリング装置を選択するにあたり、将来品目が増えることも含めて検討しました。多関節ロボットの柔軟性は後に、例えばトレーをパレタイズする時に活かすことができるでしょう。それは別として、KUKA 多関節ロボッ以外、現の限れたスペースに同等の設備を整えられるロボットはありませんでした。導入した機種についても、KR 180 PA がとりわけ低くて遠い所にも手が届くという理由でこれに決定しました。さらに当社のアプリケーションには経済的な 4 軸ロボットで十分です。」とラルフ・フライブルク氏は語ります。

多関節ロボットとして検討に価するのは KUKA だけでした。第一にモーレンビール醸造所は樽詰めロボットに大変満足していたこと、第二に KUKA システムパートナー RST ロボット・システム・テヒニーク社 (本社ドイツ、レーゲンスブルク市近郊のバルビング町) との作業が円滑に進んでいたことが、その理由です。

RST 社は、衝突防止機能を備えたロボットとグリッパー、搬入/搬出パレットコンベア、製品入りケースおよび空ケース用の昇降機、センサーおよび安全設備を含むセル一式を納入しました。プラットフォーム上に置かれた 2 台のロボットがそれぞれ 1 時間に 3 万 6000 本のボトルをハンドリングし、プラットフォーム下には「良い」パレットと「悪い」パレットを分けるコンベアが走るという、省スペース設計です。

 

4 ケースを持ち上げるフックグリッパー

製品入りケースは、ストップフック付きチェーンコンベアに載って上階からロボットセルへ運ばれてきます。ここでコンベアは、ピックアップ位置に向かってカーブのあるストラップヒンジチェーン上を止まるまで進みます。止まった所で KR 180 PA がケースの横 2 か所にあるグリッパー用リセスをフックグリッパーでつかみ、1 回につき 4 ケースを持ち上げ、ユーロパレットに置きます。0.33 リットル瓶は 6 段積、0.5 リトル瓶 5 段積みです。1 段には 300 x 400 mm のケースが 8 個並びます。

1 枚のパレットへの積載が終了するとパレットはローラーコンベアで、フォークリフトのダブルピックアップステーションであるコーナーステーションへ進みます。このステーションには 2 つのバッファがあり、それ以外にも直接ローラーコンベア上にもバッファが 2 つあります。そのため、2 枚のパレットを同時にピックアップできるように 2 組の爪を持つフォークリフトが、ロボットセルのタクトとは関係なく作業できます。


グリッパーで高低差を補正

セルの左側は返却された空ケースをデパレタイズする場所で、右側と同じ構成になっています。フォークリフトが空ケースをコーナーステーションに置きます。このステーションから、パレットがローラーコンベアでデパレタイズ場所へ送られます。

ロボットはクランプグリッパーで 1 度に 4 ケースずつつかんで、デパレタイズしていきます。中 2 ケースが安定するように、グリッパーにはセーフティクランプが特別に取り付けられています。KR 180 PA はこのクランプにより、空ケースの間に製品入りケースがあっても安全に持ち上げることができるのです。ケースがひとつ足りなかったり、壊れたためにクランプグリッパーが閉じすぎると、ロボットは即座に停止します。さらに、ケースとパレットの寸法誤差から生じる高低差がある場合には、グリッパーが内蔵スプリングでこれを補正します。高低差が大きすぎる場合にもロボットは自動的に停止し、損害を回避します。原則として、システムはパレットがセルに入る時点にその高さを点検するようになっています。パレットが決められた高さを超えているとエラーメッセージが生成され、システムが停止します。

ロボットは空ケースをストラップヒンジチェーンに乗せて、上階の瓶詰めステーションへ送ります。空パレットは、キャリッジでパレットマガジンまたはパレタイジングロボット KR 180 PA のもとへ搬送されます。損傷したパレットがあると、マスターの役割を果たす PLC がマガジン下を走る専用ローラーコンベアでセルから排出します。

PLC はバスを介して PC ベースのロボットコントローラーと通信し、パレタイズするケースを指定します。さらに PLC はいつケースと空パレットの準備ができるかを通知します。システムは全体的にユーザーフレンドリーな設計になっています。ユーザーフレンドリーと言う点では、KR 180 PA はロボットコントローラーの KUKA コントロールパネルに慣れ親しんだ Windows 画面を採用しています。


目立たないところに気配り

このシステムを設計するにあたり、KUKA システムパートナー RST 社は目立たないところにも気を配っています。設備はすべて、ケーブルダクトすら、床から離して取り付けて、セルを掃除しやすくしたのです。それ以外にも 2 台のロボットには、例えばパレタイジングロボットが作業中に、清掃員がデパレタイズ場所に立ち入っても事故にならないように安全措置が取られています。

結論その 1 としてラルフ・フライターク氏は、ロボットに切替えたメリットを次のように力説します。「今では破損が大幅に減り、品質も均一化することができました。セルの停止率が非常に低いので、人件費も減少しています。おまけに、ケースの置き方は穏やかで、コンベアの運転も静かですし、騒音がかなり緩和されたこともよかったですね。」

同じく特筆に価するのは、変更がスムーズに行えるシステムの柔軟性です。例えば、使い捨て容器のさまざまな形状に対応するローラーコンベアをもう 1 台追加することができます。そして KUKA ロボットは、補助グリッパーとツール交換ステーションを利用すれば、別のタイプの容器をハンドリングすることもできるのです。


記者:ユルゲン・ヴァームボルト (フリージャーナリスト、27327 マルトフェルト)

発表日:

23.07.2001

専門記事のダウンロード (Word 形式)

ご質問ですか? 弊社におまかせください。
KUKA Roboter GmbH
企業コミュニケーション
電話: +49 821 4533–3318
presse@kuka.com

URL:
http://www.kuka.com/jp/pressevents/productnews/NP_010723_Mohrenbraeu.htm
© KUKA Roboter GmbH
すべての権利を留保します。