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建築におけるロボットの可能性

シュトゥットガルト大学のプロジェクトでの、2台のKUKAロボットによる木板の接着、スライス加工。これまで自動化と無縁であった木造建築分野で、その可能性を立証。


木造建築におけるロボットによる製造

2008年に設立されたInstitute for Computational Design and Construction der Uni Stuttgart (ICD) は、コンピューター支援型設計・建築プロセスの開発に取り組んでいます。その取り組みのひとつとが建築におけるロボットによる製造です。連邦園芸博覧会2019向けに、ICDは画期的な軽量木材構造のバビリオンを開発、ロボットのみでその製造を実現しました。必要な施設の設計はBEC GmbHが支援しました。その際、施設の施行者には実証済みのKUKAロボットがなりました。こうして、2軸ポジショナーDKP-400(1台)とKUKAロボット、タイプKR 500 FORTEC(2台)が使用されました。産業用ロボットが木箱を精密に貼り合わせてフライス加工します。

慎重かつ効率的に:ロボットが木板を貼り付けます。

連邦園芸博覧会2019、ハイルブロン

連邦園芸博覧会(BUGA)は2年毎にドイツ各地で開催されます。BUGAは、当初は純粋な園芸博覧会でしたが、今日では様相が変わりました:この博覧会は、都市計画および建築分野における将来の発展を示しています。今年のBUGA、ハイルブロンでは、木々や草花のほかに、革新的な木造パビリオンも見る価値があります。木造パビリオンがBUGAの開催場所にとても良く適合していることは、木造構造に対するインスピレーションが自然現象の中で根拠づけられることにもなっています。

壮麗な外観:BUGA 2019における木造建築バビリオン。
建築におけるロボットによる製造

自然界からインスパイアされた構造:ロボットが木板を貼り合わせ

「私たちの作業の重点はバイオミメティックス(生物模倣)研究にあります」と、ICDのリーダー、アヒム・メンゲス教授は説明します。自然界における「様式、材料および構造」は、多くの場合、通常の構造より高い材料効率と機能性を示しています。「BUGAのパビリオンは、ウニの殻をイメージしています:ウニの殻は、成長した各板で構成されます。木造バビリオンの場合も、376の要素がまったくの個別ピースです。ロボットは単板積層材でできた木板および木造梁からなるこれらのピースを貼り合わせます。内側には、5角、6角または7角で16 cmの厚さの中空の木箱があります。完成したパビリオンは30メートルのアーチ状で、その内側には支持材も支柱もありません。「この軽量構造は、これまでの世界中で唯一のものです。ロボットによる製造がなければ、背の高い仕様のパーツは考えられません」と、ICDの科学スタッフ兼ドクトラント、ハンス・ヤコブ・ヴァグナー氏は言います。

個別製造:木造バビリオンは376の個別ピースから構成されています。

全自動:KUKA産業用ロボットが木箱を精密にフライス加工

ロボットによる製造は、タイプKR 500 FORTECのKUKAロボット2台が引き受けます:ロボット1は、ベースプレートを2軸ポジショナーKUKA DKP-400上に配置します。ロボット2は木板上に接着材を配分し、その後、ロボット1がその上に支持構造梁を貼り合わせます。木釘でロボット2は梁を釘打ちします。上記の作業手順を産業用ロボットは、すべての梁が貼り合わせられて釘打ちされるまで繰り返します。その後、ロボット1は、ロボット2によって梁の上に塗布された接着剤に別の木板を貼り合わせます。天井板も補助的に釘で固定されます。接着剤が硬化すると、ただちにロボットはDKP-400上に木箱を再度配置します。ロボット2は角の輪郭とあり継ぎを精密にフライス加工します。次に、ロボット1は、準備した木箱をマガジンにセットします。

ロボットは木板を貼り合わせ、木造梁をフライス加工して釘打ちします。
BUGA 2019、ハイルブロンの木造建築バビリオン。

精度と効率 – 建築におけるロボットによる製造のメリット

「ロボットが木板を精密かつ効率的に貼り合わせます。接着剤は制限時間内だけ液体であるため、このことが重要となります」と、BEC GmbH社長、マティアス・ブック氏が説明します。さらに、塗装時には、数量や均一さといった特別な条件に従わなければなりません。各要素の重量を考慮に入れても – 箱1つの重量は200 kg未満 – ロボットは作業の軽量化を表します。さらなるメリットとして、フライス加工時、ロボットによる製造の寸法許容誤差は0.3 mm未満です。更に、マティアス・ブック氏は、KUKAロボットの適応性を賞賛して言います:「私たちは、製造プロセス中でさえも、各要素の設計図を変更することができます。」これにより、建築産業および木造建築の革新的な可能性が生み出されます:ロボットシステムによって、個数と支払い可能なソリューションに対して増大する要求をこなすことができます。


構成部品の製造は複雑でお金がかかります。ロボットをベースとしたソリューションがなければ、プロジェクトを具現化することができないでしょう。

ICDの科学スタッフ兼ドクトラント、ハンス・ヤコブ・ヴァグナー氏

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